2035年次世代自動車の生産台数予測は全体の16%程度~これが現実解~

自動車業界は現在100年に一度の大変革期といわれます。3つの変化「電動化」「自動化」「知能化(AI自動車)」の巨大な波が押し寄せているからです。 特に「電動化」については、実に様々なストーリーが語られています。最もセンセーショナルに語られるのは、内燃車ゼロのターゲット目標です。ここに列挙するまでもなく、実に様々な自動車企業、政府が20××年までにガソリン車をゼロに、電動車100%に、といった目標を掲げています。


では統計専門家や調査機関は、実際どのような分析をしているでしょうか。


自動車業界には様々な将来予測データがありますが、弊社は複数のデータの精度を定点モニタリングして評価しています。その結果として一ついえるのは、完全に正確な予想データは当然存在しないが、大きく予測を外すデータも存在しない、という結論です。


ここからいえるのは、自動車業界の将来予測データについては、長年にわたって統計データを公表し続けている一定の信頼性のある機関の予測であれば、基本的にどのソースをベースに判断しても、著しく謝った判断には至らないということです。逆説的に言えば、絶対的に正しい結論を導けるソースも存在しないということになります。(あくまで弊社の立場です)


そこで、このコラムでは、総合技研が発表している次世代自動車市場予測データをベースに考察します。次のデータを見てみましょう。


次世代自動車の生産台数を地域別に見た場合の大きな特徴は、やはり中国の存在感です。しかし、過去に発表された予測データでは、中国の生産シェアはもっと大きくなると予想されていました。いうまでもなく、米国を中心とした中国包囲網の影響が最新予測に織り込まれた影響でしょう。 では、エンジン種別で見た生産台数予測の大きな特徴はどこでしょうか。それは「マイルドハイブリッド」の生産台数シェアが急速に拡大するという点です。 マイルドハイブリッドとは、電動モーターの用途を主にエンジンスタートや高速走行時の安定走行に補助的に利用し、主たる動力は内燃エンジンを活用する方式です。誤解を恐れず言えば「なんちゃってハイブリッド」です。

この「マイルドハイブリッド」の生産台数が急速に拡大すると予測されるのも、以前の予測とは異なる点です。このマイルドハイブリッドまで含めた場合、確かに次世代自動車の生産台数は、全体の67%を占めることになります。


しかし、世間一般で言われる次世代自動車(電気自動車、燃料電池車)のみを環境車と捉えた場合、その比率は2035年時点で全体の16%程度です。 一般に、「内燃車ゼロ」という概念は、「内燃車エンジンを搭載しない車」です。つまり、プラグインハイブリッド(外部電源から充電可能なハイブリッド)も、内燃エンジンを搭載しているため、対象外となります。このような厳密な定義では、内燃車ゼロは、2035年時点でも達成し得ない目標なのです。


自動車業界に起きている「100年に1度の変化」が巨大で不可逆なものであることは間違いありません。しかし、「電気だけで車を動かす」という世界は、実は世界の電力需要を猛烈に拡大させ、新たなひずみを生む可能性も大いにあります。 自動車産業は今でも日本人の10人に一人が関係するといわれる日本の基幹産業です。その羅針盤(将来予測、目標設計)は、より冷静に、客観的に分析される必要があります。誤った情報によるミスリードは、日本の大切な基幹産業に誤った投資負担を強いて、結局は企業競争力を破壊しかねないのです。



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