マーケティングとはなにか⑥⑦伝統的マーケティング

最終更新: 1月21日

今回は、マーケットインタイプのマーケティング活動のいわば王道ともいえる段階 「THE トラディショナルマーケティング」、それからマーケットインタイプの活動を、「個客」に対して提供する「コンシュルジュサービス」についてまとめてコラムを書いてみたいと思います。



■まず、「THE トラディショナルマーケティング」について、です。これは、

横軸:顧客にニーズを適切に把握する姿勢を持っていて、それを実現する能力や手段も確立され、

縦軸:かつそこで得られた結果を適切なターゲットセグメンテーションのもと、製品・サービス戦略(コンセプト、価格、チャネル、プロモーション)に適切に反映して売り上げの拡大を実現できる、というレベルです。

いわば、伝統的なマーケティングスタイルを確立した段階と言えます。優れたマーケティング活動で有名なP&Gや日本の花王、また日本の自動車メーカーなどは、1980年代前半にはすでにこういった段階に達していたと思われます。

一方で、寡占的で競争が激しくない業界、典型的にはエネルギー業界などでは、マーケティング、という活動自体が馴染みにくいことや、顧客ニーズの把握などしなくても売上が上がった、ということもあり、こうした活動についての取組みは近年までそれほど重視されてきませんでした。

しかし、1990年以降、日本が本格的な低成長時代に入り、いかに市場を細分化して、生き残れる市場で生き残るか、ということが経営の大きなテーマとなる中、業種業態にかかわらず、多くの企業でマーケティング活動が経営戦略に占める大きなテーマとなりました。

ちなみに、歴史的にさらにさかのぼって1960年代、70年代はどうだったかというと

・1960年代:サプライサイドの経営戦略(いかに多くの良いものを作るか)

・1970年代前半:選択と集中の経営戦略の時代(変動相場制への移行、オイルショック等による構造不況への対応)

こう考えると、1970年代後半から1980年代は、60年代、70年代を乗り越えてきた多くの企業にとって、マーケティング戦略の黎明期であり、そして、1990年代はマーケティング戦略大発展の時代と言えそうです。

さらに、1995年のウィンドウズ発売と共に、インターネット時代に突入し、企業と個客との関係(チャネル)が根本的に変化することで、マーケティングは多くの企業にとって、経営戦略の中心となりました。

■コンシュルジュ型マーケティングとは?

次は、マーケットイン型のマーケティングのもう一つの形態、コンシュルジュ型についてです。これは

横軸:顧客にニーズを適切に把握する姿勢を持ちつつ

縦軸:ターゲットをセグメンテーションしたりするのではなく、それぞれの「個客」にすべて個別に対応する、というマーケティング手法です。

コンシュルジュはいうまでもなく、ホテルのフロント等にいる、あれです。個別の顧客の要望を理解し、迅速に対応するその姿が、マーケットインのあるべき姿として捉えられた結果、様々な会社において、「弊社はお客様のコンシュルジュとして・・・」

というキャッチフレーズが使われています。(今でも)。

これらのサービスの特徴は、ターゲットをカテゴライズしたり、セグメント化したりせず、「すべての個客ニーズに個別に対応します。」という姿勢が明確で、かつ可能なことです。

このようなサービスは、比較的高額の商品や大きな買い物(典型的には住宅など)では当然古くから行われてきたことですが、主に情報通信技術の発達等により、こうした「個客」対応が、様々なサービスで可能になってきました。レクサスの音声コンシュルジュサービスなどの取組みはこうしたサービスの典型と言えます。

また、顧客の不満について、コールセンターですぐに受けつけて対応するのも、ある意味個客マーケティングの一類型と言えるかも知れません。

伝統的マーケティングの重要なポイントであり、優秀なマーケッターやコンサルタントの職人芸でもあった、「顧客ターゲティング」や「セグメンテーション」という作業が、情報通信技術の発達に伴ってより細分化され、現在では市場の最小単位である「個客」レベルで分析することが可能になりました。

これを持って、「もはや古臭いマーケティング野郎のアートは要らない。マーケティングは完全に科学になったのだ!!」 と鼻息も粗いIT技術系の専門家もいます。しかし、私は個人的には、マーケティングの世界で「アート」がなくなる日は永遠に来ない、と考えています。が、これについてはまたいつか別の機会に。

今回は、マーケットイン型のマーケティング活動の類型「THE トラディショナル型」と「コンシュルジュ型」について考察しました。


次回は、マーケットインを超えた次なるマーケティングの概念や領域、また、プロダクトアウト型経営の復権、といったことについて書いてみたいと思います。

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