トヨタ米国の在庫が歴史的低位水準に~半導体戦争2.0の号砲が鳴った~

最終更新: 5月27日

半導体不足が世界のあらゆる産業に深刻な影響を与えています。すでに詳細に報道されている通りですが、世界中の半導体が、自動車産業とその他の産業との間で奪いあいとなっています。





弊社は世界のOEMの在庫水準を定期的にモニタリングしています。中でもやはり米国の在庫動向は、世界市場の重要なベンチマークとなります。 米国はご存知の通り、完全な車社会です。そして、米国の人たちは車が大好き。新しい車を買うときも、「すぐに乗りたい」。日本のような入庫数か月待ち、という状態が耐えられません。買ったらすぐ乗って帰りたいのです。従って、米国における必要在庫水準は一般に60日程度といわれます。他国よりも高い水準です。


トヨタも、この巨大市場での「売り逃し」を防ぐべく、在庫水準の管理には万全の注意を払っており、その管理能力は恐らく世界一といってもよいでしょう。他社の在庫水準が季節や月によりかなりばらつきがあるのに対し、トヨタの在庫水準は明らかに一定の変動幅に収斂するよう管理されてきました。 ところが、そのトヨタの米国在庫水準が、今年に入って急激に低下しています。いうまでもなく半導体不足が生産のボトルネックとなっています。





トヨタは、東日本大震災の教訓を生かし、部品在庫を究極まで減らすジャストインタイム方式をバージョンアップし、予期せぬ需要変動をある程度吸収できるだけの部品在庫を持つようにサプライチェーン全体を管理しています。 この成果もあり、世界中のOEMの中で、トヨタは今回のコロナショックを契機とした半導体不足影響を最もよく吸収しているOEMといえます。そのトヨタさえ、最も重要な市場である米国において、明らかな在庫不足に陥りつつあります。半導体不足が自動車業界、そして世界のあらゆる産業に大きな不確実性を与えていく可能性が非常に高くなりつつあります。


かつて半導体王国といわれた日本。凋落の一途をたどってきましたが、高機能材料や半導体製造装置では今でも世界をリードしています。台湾のTSMCがいないと世界の先端半導体製造が止まるのは事実ですが、そのTSMCは多くの高機能材料と製造装置を日本に依存しています。半導体をめぐる新しい戦争に日本がどう立ち向かうのか、確かな国家戦略が求められます。



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