テスラウォッチ第1回~米中二極生産体制は確実に進捗~

 当社は、次世代自動車業界を占う重要なベンチマーク企業として、テスラモーターズの業績、生産販売実績を定期的にモニタリングしています。  テスラほど評価が分かれつつ、その動向を世界が無視できない新興企業はありません。超伝統的な製造業のカテゴリーで、世界にゲームチェンジを仕掛ける姿勢、そしてその中心にいるイーロンマスク氏の動向は、そのまま世界のイノベーションの方向性を占う羅針盤とさえ言えます。  度重なる経営危機を超え、現在のテスラは四半期黒字基調が定着し、時価総額は自動車OEMの中でトヨタを超えて世界一となっています。この評価が、もはや企業価値の伝統的な評価軸では説明できないことはいうまでもありません。説明がつかないほど高い。しかし、これを根拠にテスラに空売りを仕掛けた多くのヘッジファンドは、多くが一敗地にまみれる結果となっています。  イーロンマスク氏のまるで教祖のような魅力と実行力、そして数々の不可能を成し遂げてきた過去の経営実績。これらが高い株価の背景にあることはいうまでもありません。 しかし、高い株価の背景はもちろんそれだけではありません。テスラが電気自動車専業自動車メーカーとして、明らかにキャズムを超えていることは、販売台数の推移を地域別にみてみるとよくわかります。

 テスラの販売台数を地域別にみると、既に中国での販売台数が米国と同レベルまで急激に伸びていることがわかります。中国での販売車両は原則すべて中国生産です。つまり、中国国内における地産地消を、テスラは生産立ち上げから2年たたないうちに完全に軌道に乗せました。  同様に、第三国に対する米国からの輸出も急速に伸びています。この点がまず、テスラのビジネスモデルが完全にキャズムを超えた証左として挙げられます。 もう1点は、モデルYの急速な販売増です。今、世界の自動車販売のタイプ別トレンドは完全にSUV一強となっています。トヨタがクラウンをSUV化するニュースは日本でも話題になりましたが、これは世界の乗用車のデファクトが、もはやセダンではないことの証左です。


テスラは、この最も重要なセグメントで、モデルYというキラーモデルを投入し、これが米中でのさらなる販売拡大に大きく寄与しています。 日本ではモデルYはまだ販売されていないため、テスラはお金持ちが載る「モデルX」か、便利そうだけどあまり見た目もわくわく感がない(あくまで個人の感想です)「モデル3」のイメージが強いと思われます。 しかし、テスラの稼ぎ頭は、今後恐らくモデルYになっていくでしょう。ここにもう一つテスラの大きな可能性があります。 目下のテスラの最大のリスクはやはり米中戦争の影響でしょう。しかし、このリスクを回避するために中国市場から撤退するという選択肢はもはやあり得ない状況です。これは、実は日系OEMも、米系も欧州系もみな、同様です。 中国というやっかいで危険な存在と、どう折り合いをつけながらかじ取りをしていくか。自動車業界の経営に影響を与えるXファクターは、電動化だけではありません。米中戦争というファクターにどう対応していくか、テスラの今後が引き続き注目されます。

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